個人事業主の家事按分とは?

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家事按分とは

個人事業主やフリーランスなど、自宅で仕事をしている場合、家賃や高熱費の一部を経費とすることができます。自宅で仕事をしている場合は、プライベートによる生活費と事業費が混ざっていることが多いと思いますが、この費用を決められたルールで計算し、事業で使用した分を算出することを「家事按分(かじあんぶん)」といいます。

家事按分の要件

家事按分した費用を経費とする場合は、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 家事関連費のうち、主な支出(50%超)が所得を得るために必須であること
  • 上記のうち、所得を得るために必須な支出であることの根拠を明確に提示できること
  • 主な支出でない場合(50%以下)、業務に必須でありその分を明確に分けられること

家事按分できるもの

一般的に家事按分の対象となる費用は、主に以下の5つがあげられます。

  • 家賃
  • 電気料金
  • ガス、水道費
  • 通信費
  • 自動車関連費

家賃

自宅の家賃は、全体の床面積のうち、事業用に使っているスペースの床面積の割合を算出し、「地代家賃」とすることができます。

計算方法としては、居住スペースと事業で使用しているスペースの割合から求める方法と、事業で使用している部屋を使用した時間の割合から求める方法の2種類あります。

スペースの割合から求める方法

【例】床面積50m²、家賃10万円のマンションの10m²を事業で使用している場合

◆按分率:10m² ÷ 50m² = 0.2(20%)
◆経費にできる額:100,000円 × 20%(按分率) = 20,000円

時間の割合から求める方法

【例】家賃10万円で、業務時間が1日8時間、週4日間の場合

◆1週間の業務使用時間:8時間 × 4日 = 32時間
◆1週間の総時間:24時間 × 7日間 = 168時間
◆按分率:32時間 ÷ 168時間 = 0.19…(約19%)
◆経費にできる額:100,000円 × 19%(按分率) = 19,000円

電気料金

計算方法は、利用時間や日数を基準に按分する方法と、自宅にあるコンセント差し込み口を業務で利用している数で按分する方法の2種類があります。

利用時間や日数を基準に求める方法

【例】月の電気料金が1万円、業務時間1日4時間、週に4日間の場合

◆1週間の業務使用時間:4時間 × 4日 = 16時間
◆1週間の総時間:24時間 × 7日間 = 168時間
◆按分率:16時間 ÷ 168時間 = 0.09…(約9%)
◆経費にできる額:10,000円 × 9%(按分率) = 900円

業務で使用するコンセントの差し込み口数で求める方法

【例】月の電気料金が1万円、電源の差し込み口が10個、そのうち5個を業務で利用している場合

◆按分率:5個 ÷ 10個 = 0.5(50%)
◆経費にできる額:10,000円 × 50%(按分率) = 5,000円

ガス・水道費

ガスや水道の使用が事業に直接関係がある場合は、経費とすることができます。

計算方法

【例】月のガス代が3万円、業務時間1日5時間、週に4日間の場合

◆1週間の業務使用時間:5時間 × 4日 = 20時間
◆1週間の総時間:24時間 × 7日間 = 168時間
◆按分率:20時間 ÷ 168時間 = 0.11…(約11%)
◆経費にできる額:30,000円 × 11%(按分率) = 3,300円

通信費

携帯電話料金や、インターネットなどでかかった通信費も業務で利用した分を経費にすることができ、使用日数または使用時間から割合を求めます。

使用日数から求める方法

【例】月の通信費が2万円、1週間のうち4日間使用している場合

◆按分率:4日間 ÷ 7日間 = 0.57…(約57%)
◆経費にできる額:10,000円 × 57%(按分率) = 5,700円

使用時間から求める方法

【例】月の通信費が3万円、業務時間1日5時間、週に5日間の場合

◆1週間の業務使用時間:5時間 × 5日 = 25時間
◆1週間の総時間:24時間 × 7日間 = 168時間
◆按分率:25時間 ÷ 168時間 = 0.14…(約14%)
◆経費にできる額:30,000円 × 14%(按分率) = 4,200円

自動車関連費

仕事で使用している自動車がプライベートと共用の場合でも、業務に使用した分は経費にすることができます。
自動車関連費は利用時間や日数、走行距離などを基準に計算します。

経費の対象になるのは、おもに以下のようなものです。

  • 車両本体の購入代金
  • ガソリン代
  • 駐車場費用
  • 高速代
  • 車両保険料
  • 自動車税(種別割)
  • 車検費用

業務中に使用した高速道路やコインパーキングなどの料金は、全額経費にすることができますが、それ以外の費用については、業務とプライベートそれぞれの走行距離や利用時間などを目安に割合を決めて按分します。

青色申告と白色申告の家事按分の違い

青色申告の場合、業務上必要である部分の比率に関する制限はありません。
白色申告の場合は、業務の遂行上必要である部分は50%を超えるか否かが焦点となりますが、その部分が必要である旨を明らかにできる場合は、50%以下でも必要経費として認められます。

青色申告、白色申告に係らず、家事按分する場合は、その元となる根拠が必要です。
走行距離等の記録を残せる場合はしっかりと残すようにし、残せるものがない場合は、聞かれた時に説明ができるように使用状況をきちんと把握しておきましょう。

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