発生主義と現金主義?その違いとは?

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帳簿づけをする時に出てくる「発生主義」と「現金主義」。聞いたことはあるけど、その違いはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、発生主義と現金主義についてご説明します。

目次

発生主義とは?現金主義とは?

「発生主義」とは、お金の出入りがあった時ではなく、収入や支出のもととなる取引が成立した時に収益や費用を計上するという会計上の考え方です。逆に「現金主義」は、お金の出入りが実際にあった時に収益や費用を計上します。

会計上の原則は、現金主義ではなく発生主義です。青色申告でも白色申告でも、基本的には発生主義にもとづいた帳簿を作成する必要があります。

発生主義・現金主義の仕訳の違い

例えば、5月10日に100,000円のパソコンをクレジットカードで購入した場合の仕訳の仕方を見てみましょう。

発生主義の場合

パソコンを購入した時点での仕訳は以下のようになります。

日付借方貸方摘要
5月10日消耗品費 100,000円未払金 100,000円パソコン

翌月末に代金が銀行口座から引き落とされた場合は、以下のように仕訳します。

日付借方貸方摘要
6月30日未払金 100,000円普通預金 100,000円パソコン

つまり、発生主義では、購入して取引が発生した時点と、実際にお金が引き落とされてお金の出入りがあった時点の2個の仕訳をする必要があります。

現金主義の場合

発生主義の場合はカードを使用して購入した時に仕訳をしましたが、現金主義の場合は購入時点ではお金の出入りがないため仕訳はしません。ですので、翌月に銀行口座から引き落とされた時にだけ以下の仕訳をします。

日付借方貸方摘要
6月30日消耗品費 100,000円普通預金 100,000円パソコン

期中現金主義・期末発生主義とは?

ここまで説明してきました通り、発生主義の場合は2回の仕訳が必要になるので、少し手間に思うかもしれません。

そこで実は、会計期間の間は現金主義で仕訳を行い、会計期間をまたぐ取引については発生主義で帳簿づけを行う方法があります。それが「期中現金主義・期末発生主義」といいます。

先程のパソコンの購入の例の場合、取引を行った日と口座からお金が引き落とされた日は同じ会計期間中であるため、購入した日に計上しても、引き落とされた日に計上してもその年中であるという点は変わりがありません。
ただし、引落しのタイミングが会計期間をまたぐ場合は、現金主義で仕訳を行うと、購入したのは本年でも引き落されたのが翌年になってしまうため、計上されるのは翌会計期間中の取引になってしまうのです。ですので、期末の取引きの場合は発生主義で仕訳をする必要が出てくるのです。

なお、白色申告はもちろん、青色申告で55万円控除・65万円控除を受ける場合も、期をまたぐ取引だけ発生主義で計上できていれば問題ありません。

青色申告でも現金主義を認められる特例がある

先述の通り、白色申告でも青色申告でも、基本的には「発生主義」で帳簿づけをする必要があります。
しかし、以下の条件を満たす場合は現金主義による特例を受けられます。

① 青色申告者であること

青色申告者になるには、原則として青色申告の適用を受けたい年の3月15日まで(1月16日以後に新たに事業をはじめた人は事業開始から2ヶ月以内)に、「所得税の青色申告承認申請書」を所轄の税務署用に提出します。
▼ 青色申告制度の詳細はこちら
No.2070 青色申告制度|国税庁 (nta.go.jp)

② 小規模事業者であること

小規模事業者とは、その年の前々年の事業所得の金額と不動産所得の金額の合計額(青色事業専従者給与の額を必要経費に算入しないで計算した金額)が300万円以下の方のことです。

③ 特例を受けるための届出を行っている

①②の条件を満たしており、さらに、原則として適用を受けたい年の3月15日まで(1月16日以後に新たに事業をはじめた人は事業開始から2ヶ月以内)に「現金主義におより所得計算の特例を受けることの届出書」を提出します。
▼ 「現金主義におより所得計算の特例を受けることの届出書」はこちら
[手続名]現金主義による所得計算の特例を受けるための手続|国税庁 (nta.go.jp)

上記3つの条件を満たしていれば、特例の適用を受けられますが、現金主義による会計処理の場合、複式簿記に該当しないため、最大65万円の控除が適用されず、最大で10万円の控除になりますので、注意が必要です。

発生主義でも現金主義でも、慣れるまでは帳簿づけを大変に思うかもしれません。
たくさん溜めてから帳簿づけを行うのは大変なので、日々少しずつ帳簿づけを行うとよいでしょう。

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