1年間(1月1日から12月31日までの間)に生じた所得金額を正しく計算し申告するためには、収入金額や必要経費に関する日々の取引の状況を帳簿に記帳し、取引に伴い作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要があります。
一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする方については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる青色申告の制度があります。
青色申告をすることができる方は、不動産所得、事業所得、山林所得のある方です。
青色申告の特典
青色申告の主な特典は次のとおりです。
青色申告特別控除
不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則、(一般的には複式簿記)により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付して、確定申告書をその提出期限(確定申告期限)までに提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高55万円を控除することとされています。
(注1)令和2年分以後の青色申告特別控除について、この最高55万円の青色申告特別控除を受けることができる方が、電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告を行っている場合は、最高65万円の青色申告特別控除が受けられます。
(注2)還付申告書等を提出する方であっても、最高55万円または最高65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに正規の簿記の原則による記帳に基づいて作成した貸借対照表および損益計算書を確定申告書に添付して、その申告書を提出する必要があります。
上記以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得および山林所得を通じて最高10万円を控除することとされています。
青色事業専従者給与
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができます。
なお、青色事業専従者として給与の支払を受ける方は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません。
貸倒引当金
事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費として認めるというものです。ただし、金融業の場合は 3.3%になります。
なお、貸金のうち、貸倒れその他これに類する一定の事由による損失の見込額については、それぞれの事由に応じた限度額までを、貸倒引当金勘定に繰り入れることができますが、その際必要経費に算入された金額の計算の基礎となった貸金は一括評価を行う帳簿価額の合計額から除かれます。
純損失の繰越しと繰戻し
◆純損失の繰越し
事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除します。
なお、令和5年4月1日以降に特定非常災害の指定を受けた災害より生じた純損失の金額につき、以下の場合には、次の損失額について繰越控除期間が3年間から5年間へと延長されます。
(1)保有する事業用資産のうち、特定非常災害に指定された災害により生じた損失(特定被災事業用資産の損失)の割合が10%以上である場合、青色申告者についてはその年に発生した純損失の金額
(2)特定被災事業用資産の損失の割合が10%未満の場合には、特定被災事業用資産の損失による純損失の金額
◆純損失の繰戻し
前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年分の所得金額に繰り戻して控除し、前年分の所得税額の還付を受けることもできます。
詳細は国税庁ホームページをご覧ください。
No.2070 青色申告制度|国税庁