3月も残すところ約1週間。4月になり新年度を迎えると、今まで勤めていた会社を辞めて、新たに個人事業主として新生活を始めるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、個人事業主として事業を始める際に必要な開業届についてご紹介します。
「開業届」とは何?
個人事業主として事業を始める際に、税務署に提出する必要のある書類が「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」です。
開業届の提出は所得税法によって義務付けられており、不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき事業を開始した場合に提出が必要になります。そのため、フリーランスや副業の場合でも、継続的に事業を行う場合は提出が必要になります。
開業届の提出期限
提出期限は、事業の開業日から1ヶ月以内です。開業日についての明確な規則はないため、自分自身で好きな日にちを設定することができます。
開業届を提出しないことでの罰則は特にありませんが、「所得税の青色申告承認申請書」や屋号での銀行口座の開設など、諸制度を利用するためには、開業届の提出が必須条件のものもあるため、期限内に提出した方が良いでしょう。
開業届の提出先
原則として、個人事業主の場合は住民票の住所地が納税地となります。そのため開業届の提出先は、基本的には住民票の管轄する税務署となります。
※事業所を納税地としたい場合は、「納税地の変更に関する届出書」を提出することで変更することもできます。
参考:[手続名]所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する手続|国税庁 (nta.go.jp)
開業届が不要なケースとは?
収入が事業所得、不動産所得、山林所得に該当しない場合は、開業届の提出は必要ありません。
事業所得にあたるのは、営利性や有償性、反復性や継続性を有しているものを指すため、不要品を売却して金銭を得た場合や趣味程度に行う副業等で得た収入は事業とは認められず、雑所得として扱われるため提出は不要です。
開業届を提出するメリット
メリット① 青色申告を利用できる
開業届を提出することで「所得税の青色申告承認申請書」も提出できるようになります。
青色申告とは、正規の簿記の原則での帳簿の作成・保存を条件として、様々な特典を受けられる制度です。具体的には以下のような特典があります。
- 最大65万円の青色申告特別控除
- 青色事業専従者給与
- 純損失の繰越しおよび繰戻し還付
- 少額減価償却の特例
メリット② 補助金・助成金の申請ができる
補助金や助成金の申請をする際に、必要書類として開業届の控えを求められるケースがあります。
メリット③ 屋号付き口座が開設できる
屋号付き口座を開設すると、事業の信頼感が増したり、ビジネス用とプライベート用の口座を分けることで、個人のお金と事業のお金の区別をつけやすくなり、経理処理の負担が軽くなる等のメリットがあります。
メリット④ 小規模企業共済に加入できる
小規模企業共済とは、個人事業主などの小規模企業を対象とした積み立て式の退職金制度です。
加入には、確定申告書の控えが必要ですが、事業1年目の場合は申告書の控えがないため開業届の提出が必要になります。
開業届の提出方法
用紙の内容に従って必要事項を記入します。
記載し終わったら、提出用と控え用の2部を管轄の税務署に提出します。
提出方法は税務署窓口に直接提出と郵送が選べます。
※書面提出以外に、e-Tax(電子申請)を用いる方法もあります。
【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス) (nta.go.jp)
税務署窓口で提出した場合はその場で受け取れ、郵送で提出した場合は返信用封筒で送付されます。郵送で提出する場合は、返信用封筒を同封することを忘れないように気をつけましょう。
個人事業主として事業を始めるために必須な書類は開業届ですが、状況によって「青色申告承認申請書」「青色事業専従者給与に関する届出書」「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の提出が必要になります。従業員の有無等で提出が必要な書類が異なりますので、自分が提出する必要のある書類が何なのかをよく調べておくようにしましょう。
青色申告会では、確定申告のサポートをはじめ、日々の帳簿付けや従業員の源泉徴収や年末調整までを個別にサポートしています。気になることや不安なことがありましたら、ぜひ青色申告会にご相談ください!