確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることによって、納め過ぎの所得税の還付を受けることができます。この申告を還付申告といいます。
還付申告の具体例
給与所得者は、次のような場合には、原則として還付申告をすることができます。
- 年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき
- 一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき
- マイホームに特定の改修工事をしたとき
- 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)
- 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき
- 特定支出控除の適用を受けるとき
- 多額の医療費を支出したとき
- 特定の寄附をしたとき
- 上場株式等に係る譲渡損失の金額を申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得等の金額から控除したとき
還付申告と対象とならない所得の具体例
次に掲げる所得については、確定申告によって所得税の還付を受けることはできません。
- 源泉分離課税とされる預貯金の利子
- 源泉分離課税とされる抵当証券などの金融類似商品の収益
- 源泉分離課税とされる一定の割引債の償還差益
- 源泉分離課税とされる一時養老保険の差益(保険期間等が5年以下のものおよび保険期間等が5年超で5年以内に解約されたもの)
申告等の期限
その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
ただし、青色申告特別控除(55万円、65万円)を受けようとする場合など、法定申告期限内(原則翌年3月15日)までの確定申告書の提出が要件となっている特例を適用する場合には、還付申告であっても法定申告期限内までに提出する必要があります。
提出書類等
確定申告書です。
なお、土地や建物の譲渡所得や株式の譲渡所得がある場合などには申告書第三表(分離課税用)を、その年の所得金額の計算上生じた損失の金額をその年の翌年以後に繰り越す場合などには申告書第四表(損失申告用)を申告書と併せて使用します。
注意事項
- 既に還付申告をした人が、その申告した年分について、還付を受けるべき税金を少なく申告してしまった場合には、更正の請求という手続により納めすぎになっている所得税の還付を受けることができます。
更正の請求ができる期間は、原則として還付申告書を提出した日から5年以内です。 - 還付申告書の提出先は、提出するときの納税地を所轄する税務署長です。